平成23年 第 5回 沖縄県議会(定例会) 第2号 6月29日
2、新たな沖縄振興策について。
 県は、2030年の沖縄のあるべき姿、長期的な視点で将来を展望した「沖縄21世紀ビジョン」を策定しております。4次にわたる国による振興策は、観光業の伸びや情報通信関連産業の集積などに成果を上げておりますが、離島経済圏の不利性を克服するには至らず、90%超の中小零細企業の存在に全国最下位の県民所得や依然厳しい雇用情勢など、大きな課題を抱えているのであります。このため、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は、これまでの国の計画であった沖縄振興計画から抜本的な発想の転換を図り、県が主体性を持った県計画として策定し、これを国が支援する仕組みと国の責務において全国一律とは異なる新たな法制度を構築するものであります。

平成23年6月29日 定例会

答弁者: 仲井眞知事
しかし、政府が打ち出した総合特区制度に対し全国の自治体が導入を目指し働きかけを強めている中、沖縄唯一の一国二制度の創設を図るのは容易ではありません。 特に大震災で壊滅的な打撃を受けた東北地方に特区の創設との声が政府内部から出ていることは、沖縄の優先度の後退につながりかねません。県は、国との調整において沖縄の優先度や県主体の計画にすることが県経済の自立につながることで理論武装が重要となってくると考えます。県民所得全国中位の目標を達成する上で経済の自立は不可欠であり、県の取り組みが注目されております。そこで伺います。
 (1)、県は、沖縄振興計画にかわる新たな計画である「沖縄21世紀ビジョン基本計画(素案)」を公表した。計画の基本的な考え方と計画実現のため克服すべき課題の解決について伺いたい。
 (2)、県は、「沖縄21世紀ビジョン」の策定や一国二制度の恒久法の制定を目指しているが、全国的に総合特区制度導入の動きや大震災に伴う復興特区構想がある中、沖縄は特別との理由づけは可能であるか。
 (3)、沖縄政策協議会が開かれたが、新たな沖縄振興に向けた県の要望に対しほとんどゼロ回答に近いということだが、国と県との認識の乖離はどこにあると考えているか伺いたい。
 (4)、新たな沖縄振興に係る法制度の策定に向けた政府との調整がおくれている中で、現行制度の単純延長やつなぎ法案の考え方が出ていることについて県の見解を伺いたい。
 (5)、国際物流拠点としての那覇空港と沈埋トンネルで結ばれる那覇港国際コンテナターミナルとの航空輸送と海上輸送を連結させた国際物流経済特区の創設について県の考えを伺いたい。
 

(答 弁)

次に、新たな沖縄振興策に係る御質問の中で、新たな計画の基本的考え方についてという御質問にお答えいたします。
 「沖縄21世紀ビジョン基本計画」では、「強くしなやかな経済の構築」と「沖縄らしい優しい社会の構築」を施策展開の基軸として、「沖縄21世紀ビジョン」で示された県民が描く将来像の実現に向け、取り組むことといたしております。
 「強くしなやかな経済の構築」では、観光・リゾート産業や情報通信関連産業に加え、沖縄の特性を踏まえました臨空・臨港型産業の集積などにより第3、第4のリーディング産業を育てていきますととともに、域内産業を活性化させ、経済社会の変動にも柔軟に対応できる経済を構築いたしてまいります。また「沖縄らしい優しい社会の構築」では、子供が健やかに生まれ育つ環境づくり、そして豊かな自然環境のもと、医療や福祉、保健、教育などが充実をし、安全で安心できる社会の構築、離島の定住条件の向上などに取り組んでまいります。また、「沖縄21世紀ビジョン」で示されました県民が描く将来像実現のためには、沖縄の特殊事情から派生する固有課題であります「基地問題の解決と駐留軍用地跡地利用」、そして「離島の条件不利性の克服と国益貢献」、「海洋島しょ圏沖縄を結ぶ交通ネットワークの構築」、「地方自治拡大への対応」を克服することが必要でございます。
 新たな沖縄振興策に係る御質問の中で、沖縄振興の理由づけについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 東日本大震災に係る復興支援につきましては、国民全体の負担により優先的に取り組むべき重要課題であります。沖縄県といたしましても被災地の支援に努めているところであります。
 一方、こうした状況にあっても、沖縄が戦後26年余り国の施政権の外にあった歴史的事情や米軍施設・区域の集中しているいわば社会的事情などの地域特性に起因する県民所得の向上への課題や、雇用の確保という課題、そして離島振興、さらには戦後処理問題解決への課題、基地跡地利用などの課題などはいまだ解決されておらず、引き続き国の責任による沖縄振興が必要だと考えております。
 私どもは、この約40年間にわたり4回の沖縄振興の法律と計画をつくってまいりましたが、この中でその必要性につきましては、今申し上げた4つの特性、1つは、我々が日本国の施政権下の外に置かれていたこと、日本復帰が20年おくれていること、こういう歴史的な事情、そして自然の面では我が国でもめずらしい亜熱帯地域であり、台風常襲地帯であるという特性、さらには地理的には本土から遠く離れた広大な海域に散在する39の有人離島から成るという県の特性、そして社会的な特性として、米軍の施設・区域が集中し過ぎているという特性、この特性がかなり改善されたものも無論ありますが、基本的には特に米軍基地の集中などなど、26年の米軍の施政権下に置かれたことから発生してくる課題についてはほとんど改善がされていないという部分もございます。そういうことを踏まえて、私たちはきちっと沖縄振興の重要性、沖縄振興の必要性を要求し、国の責任において課題の解決に努める理由にはしっかりしたものがあると考えて取り組んでいるところでございます。
 次に、新たな沖縄振興策に係る御質問の中で、国と県との認識の乖離、違いについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄振興に向けました沖縄県の制度提言や沖縄振興一括交付金の創設などに対して、全国一律とは異なる新たな仕組みの構築を求めるものでございます。
 去る5月24日に開催されました沖縄政策協議会の振興部会におきまして、官房長官から、そろそろ実務レベルから政務レベルへ上げてさらに踏み込んだ検討をしたいという旨の発言がありました。また、去る6月23日の全戦没者追悼式におきましては、菅総理のごあいさつの中で、一括交付金とか、県が主体となる計画への支援、そして跡地利用に関する法律の制定、出先機関の見直しなど、地元の方々の声に耳を傾けながら実現してまいりますというごあいさつがございました。これなどを含め、沖縄県の考えを可能な限り取り入れた検討がなされていくものと期待をいたしております。
 沖縄県としましては、新たな沖縄振興を実現するため、県民各界各層、そして議会は無論ですが、市町村の御協力を得ながら、引き続き国に対し働きかけると同時に、意見交換を進めまとめてまいりたいと考えております。
 次に、同じく新たな沖縄振興策に係る御質問の中で、現行制度の単純な延長やつなぎ法案に対する県の考えいかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。 
 沖縄県が新たな沖縄振興のために提言しております諸制度は、県民が求める将来像実現のため、そして離島県ゆえの不利性を克服するとともに、魅力ある自然環境や独特の文化、豊富な若年労働力、そして東アジアの中心に位置する地理的優位性等を最大限発揮できる施策の展開を目指すものであります。
 県の要望につきましては、現在関係府省との間で調整を進めており、また、去る23日の全戦没者追悼式における総理大臣のあいさつ及び24日の官房長官の沖縄振興開発金融公庫の存続などに関連する発言に見られますように、来年4月以降には県が求める諸制度を盛り込んだ新たな法律がスタートするものと認識をいたしております。
 県としましては、単純延長やつなぎ法案はないものと考えております。
 次に、県財政の健全化についての柱の中で、沖縄振興一括交付金の県の基本的考え方いかんという御質問にお答えいたします。
 これまでの沖縄振興は、沖縄の置かれた4つの特殊事情にかんがみ、さまざまな施策がとられてきましたが、県民所得の向上や雇用の確保、そして離島の振興、戦後処理問題、基地跡地などの課題及びまだ残された社会資本の整備、そして産業基盤の整備等はいまだ完全には解決されておりません。引き続き国の責任による全国一律の制度に基づかない沖縄振興が必要だと考えております。また、一方では、復帰後40年にわたります時代の流れの中で、県民ニーズの変化や地方分権の進展などから、沖縄振興も新たな段階を迎えているとも考えております。
 今後の沖縄振興につきましては、沖縄が今なお抱える固有課題の解決を図りますとともに、沖縄の魅力ある自然環境や東アジアの中心に位置するという地理的な優位性などを活用することにより県民が求める将来像の実現を図ると同時に、我が国の経済社会にも寄与する施策を展開することといたしております。
 沖縄県といたしましては、これらの沖縄独自の施策を展開するために必要な財源として、使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金の創設を求めているところであり、国の理解を得られるものと考えております。

 
(質 問) 

そして3つ目が、台風2号による被害状況について。自由民主党会派もこれまで沖縄での台風被害について調査した結果、また、6月15日に経済労働委員会で伊江島、今帰仁の農家の現場視察をした結果、本土と沖縄での台風被害状況が異なります。これまで農家が共済に入るため負担も大きく、現行の共済制度では掛金が高く、そのため加入率が少なく、農家の支援ができない。農家支援のため、沖縄独自の沖縄型の農業共済制度の確立をすべきではないかお伺いします。
 今帰仁に行ったときに農家の方々から、県議会の皆さんがそこに視察しに来て報告で終わらないでくれと。本当に農家が苦しんでいる状況を調査していただいて、結果を出していただきたいという要望がありました。
 御承知のように、本土と違って沖縄県は台風が多いところであります。沖縄型の共済制度を確立していただきたい。これはもし知事も答弁できましたら、よろしくお願いしたいと思います。


 
(答 弁) 

中川議員の再質問に答弁をさせていただきます。
 まず第1に、沖縄型の農業共済についてですが、これは現在の新しい沖縄振興法の創設、制定であるとか、振興計画といいますか、振興施策の中でもぜひともこれは実現したいということで、来年度からでも何とか形を整えられるように既に政府とも実務的にも話は始めております。ですから、我々も何とかこれは実現いたしたいと思っております。ぜひ議会の先生方とも一緒に取り組んでまいれればと思っております。
 それから嘉手納飛行場の件は、無論県といたしましても、特にアメリカ政府に対してこれ以上の基地負担、今でも物すごい過重な基地負担を嘉手納飛行場周辺市町村の人々は負っている中で、これがさらに厳しくなる可能性があるというものは、一切これは受け付けられない、断じて受け入れられないということで、これからもアメリカ政府に対して我々のほうでしっかりと申し入れをしていきたいと考えております。
 
それから第1番目、酒税についてですが、これも事実上4回、つまり40年にわたって延長をしてきて、一般的には泡盛やオリオンビールさんとかの県内ビールについての酒税を軽減するというのは、実はそう易しくはありません。ありませんけれども、今既に我々は内閣府を通じていろんな議論をしている中で、にべもなくノーという段階ではなくて、少し前へ進みつつあります。しかし、これもすぐれて最後は地域振興に係る政治的な判断というような要素がかなり強く入ってまいりますので、基本的にはぜひ県議会の皆様のお力を得て、一緒になってこれはぜひ実現してまいりたいというふうに考えております。



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